バイオリンの購入について – 初心者のためのよくある質問(FAQ)

初めてバイオリンを弾く生徒さんに、よくこのような質問を聞かれます。 「バイオリンの値段はいくらくらいですか?」「どこでバイオリンを買えますか?」「どのブランドのバイオリンを買えばいいですか?」…等々 今回は、そういった皆様のお声を反映し、バイオリン初心者の方に役立つ情報を説明いたします。 下記の見出しにある疑問を1つでも抱いたことのある方は、是非ご覧ください。 見出し どこでバイオリンを買えますか? バイオリンを買い始める前に、レンタルした方が良いか一度考えてみてください。 購入する事に決めたのであれば、購入するにあたり、基本的なルールがいくつかあります。 全くバイオリンに詳しくない方は、まず初めにバイオリンに詳しい人を見つけてください。 プロや音楽学校の生徒の友人がいれば、そちらに聞くのもいいですが、中々いないと思うので、普通は講師を探し、その講師に楽器選びを手伝ってもらう事を意味します。 私含め多くの講師は、これを仕事の一環と考えるので、追加料金等はかかりません。 手伝ってくれる人を見つけたら、近くのバイオリンショップに行きましょう。 ギターショップと違い、バイオリンショップでは、バイオリンを正確に調整してくれる職人が店内にいるのと同様に、知識豊富なスタッフがいます。 見出しに戻る バイオリンの値段はいくらですか? バイオリンは非常に高価なものです。職人が最初から最後まで手掛けたバイオリンは、通常60万円〜になり、プロのバイオリニストは大体250〜600万円のバイオリンを使用しています。有名な職人が手掛けた歴史的価値があるバイオリンは、数10億円します。 しかし、初心者用のバイオリンなら、およそ6〜60万円で見つける事ができます。以下に、各価格帯のおおよその内訳を紹介します。 バイオリンの価格帯の内訳 30000円以下(弓と付属品を含めたセット) こちらは、使い物にならないレベルのものであり、Amazon等のオンラインサイトのみで購入でき、評判の良いお店では販売しておりません。これらのバイオリンは、演奏できない保障があるといってもいいくらい、沢山の問題を抱えています。お金を無駄にしないでください。 30000~60000円(弓と付属品を含めたセット) こちらも、使い物にならないものが殆どです。この価格帯のバイオリンは大抵、品質の悪い木材と悪い製造方法で作られた工場製のバイオリンになります。短期的には演奏できるかもしれませんが、音もあまり良いものでなく、元々の所有者が手放すまでの期間+数年しか持たないように作られている事が多いです。このように寿命が短いため、買い替え時に売っても、全く価値がありません。このレベルのバイオリンから始めた人の多くは、次のレベルの楽器から始めた人よりも、自分の音に不満を抱いて辞めてしまう可能性が高いです。 これよりワンランク上の中古バイオリンも、このカテゴリの最上位に位置する可能性はありますが、状態の悪いものが多いので、この中から使える楽器を選び出すには、それなりの知識が必要です。 販売者や前の所有者にもよりますが、これらのバイオリンは、駒が歪んでいる/正確に切られていない、チューニングペグが回らない、ナットが正確な高さにヤスリで削られていない、古い/悪い性質の弦である等、ひどい状態であるかもしれません。上記の問題を解消するには、少なくとも15000~20000円がかかるため、事実上、次の価格帯のバイオリンになってしまうのです。 70000~100000円(弓と付属品を含めたセット) こちらは、実際に使用できるバイオリンの最安値となります。これらのバイオリンは、基本的に中国やルーマニアの工場で作られたバイオリンですが、材料の品質や製造方法は、バイオリンを製造するのに必要最低限のものより、少し上回ったものとなります。ただし、やはりこのような低価格のルーマニア製のバイオリンは、使い捨て用に作られているため、注意が必要です。 子ども用には、基本的にこの価格帯のバイオリンを購入することをオススメします。とても小さいサイズでは、より質の高い職人技が生かされていたとしても、音の変化が少ないからです。 高品質な1/4や1/2サイズのバイオリンをわざわざ作る職人は少ないので、入手できない可能性もあります。フルサイズのバイオリンは、次の価格帯にいく準備ができるまでは、品質がより良いバイオリンをレンタルする事をオススメします。 150000~300000円 この価格帯は、高級ブランドのバイオリンや、古くからあるドイツ工房製バイオリンも含まれます。これは、フルサイズのバイオリンを購入するにあたり、最安値の価格になります。材料もより高品質なものを使用され、職人の技もより丁寧になっています。 この価格帯から、バイオリン製造方法が工場生産(工場製)から手作業(手製)へと徐々に移行されていきます。低価格のバイオリンが壊れると、修理するのに莫大な費用がかかりますが、この価格帯以上のバイオリンは、修理する事にも価値があり、寿命が長くなり売った時の価値が高くなります。 この価格帯では、弓と付属品は基本的に含まれていないので、少なくとも弓にも40000~80000円かかることを覚えておいてください。また、この価格帯ではカーボンファイバー製の方が、価格もあまり変わらない木製の弓より、はるかに良い事を忘れないでください。 この価格帯のバイオリンは、あまり本格的でない、バイオリンを趣味にしたい人には向いていますが、本格的に学ぶ人は、演奏者として成長するための深みが足りないと感じるかもしれません。 これらのバイオリン3つは、1890年から1920年の間にドイツの工房で作られました。 400000~600000円 この価格帯は、高級な工房製のバイオリンを含みます。上記の価格帯(15~30万)と同じ技法で作られたバイオリンですが、より慎重に作られ、最高級品として選ばれたものになります。木材も選び抜かれたもので、ニスもより質の高いものを時間をかけて塗られています。 バイオリン中級者にとっては、一生手放せなくなるかもしれないくらいの良質な楽器になります。このレベルのバイオリンを購入する事に強い決意があるならば、初心者は品質の違いを見分ける事ができないので、試奏する時は必ずバイオリンに詳しい人と一緒に行くことをオススメします。 見出しに戻る ネットでバイオリンを購入できますか? 買えますが、買わない方が良いです。 ネット上に低価格で演奏可能なバイオリンも販売されていますが、修理費用がかかる、あるいは修理さえできない等の深刻な問題を抱えたバイオリンが圧倒的に多いです。 Amazon等のサイトで購入できる最安値の楽器(20000円以下)は、使い物にならないレベルであり、これまでも今後も一切演奏できないものになります。従って、いかなる場合でもこのような楽器は避けましょう。 次のレベル(20000~40000円)にいく時は、初心者レベルの中古バイオリンを見つける事ができます。一部は使用可能なものもありますが、粗末な扱いが原因で、多くのものが職人による専門的な調整が必要になります。通常、この費用は、元のバイオリンの値段に15000~20000円追加されたものになります。 更に、初心者レベルのバイオリンは、数年しかもたない様に製造されており、このレベルのバイオリンの修理費用は、通常バイオリンそのものの費用より高くなります。訓練を受けた職人でさえも、写真からではバイオリンの真の状態を見極める事が難しいので、本質的にこのようなバイオリンを購入することはギャンブルに近いです。 この事態を更に悪化させるのが、殆どの店舗は返品規約がないという事です。すなわち、質の悪いバイオリンを誤って購入したとしても、返品できる方法がありません。 ただ、バイオリン専門店の多くはネットでバイオリンを販売しています。 これらのバイオリンは、他のネットサイトで販売されている楽器より少々高いですが、基本的に正しく調整され、演奏可能であることが保証されています。また、何か問題がある場合は、たいていお店で対応してもらえます。 しかし、もし可能ならば、購入する前に直接お店に行き、試奏する方が良いです。(こちらをチェック:どこでバイオリンを買えばいいですか?) 見出しに戻る いつレンタルすればいいですか? あなたが今からバイオリンを始める大人である場合は、基本的に中級バイオリンに相当な金額を費やすくらいバイオリンを弾き続けたいと確信するまでは、レンタルする事をオススメします。 大人の生徒の殆どは、4~10ヶ月の間にバイオリンを学ぶのを諦めてしまいます。その場合、レンタルにかかる費用は、バイオリンを購入する費用より安くなります。 子どもがバイオリンを学ぶのであれば、8つの分数バイオリンがあるので、全てのバイオリンを購入するよりも(売っても価値はほとんどありません)、レンタルする方が良い事の方が多いです。特に子どもの大きさとバイオリンのサイズが合わない時は、大きいサイズを購入し、成長するまで待ちたくなるという事が多いからです。 見出しに戻る いつ買えばいいですか?…

バイオリンの各部分の名称について

こちらの記事では、各バイオリン部分の名称・意味・用途等について、説明いたします。駒・魂柱・f字孔等にどんな意味や使い方があるか知りたい方に、とっておきの記事となっております。ぜひ、ご覧くださいませ。 スクロール スクロールは、バイオリンの先端にある彫刻された部分です。ネックと同じ木材(通常はカエデ材)から削り出されます。スクロールの質量がバイオリンの音に影響している一方で、独特なデザインである主な理由は、職人のスキルを示すこと、美しく見せること、そして収納時に、バイオリンを吊るすために、フックとして使われることもあります。これは昔の羊皮紙を丸めたようなものに似ており、英語でスクロールと呼ばれています。(これが名前の由来) その他の楽器、特に初期の弦楽器では、スクロールの模様部分は人間や動物の頭の形として彫られており、イタリア語ではまさしく、この部分を「la testa」(日本語で「頭」という意味)と呼ばれています。以下が変わったスクロールの写真となります。 見出しに戻る f字孔 駒の両側にある2つの穴はf字孔と呼ばれ、旧字体の筆記体「ƒ」と似ています。 バイオリンの共鳴胴で増幅された音は、f字孔によって放出されます。 更にf字孔があると、バイオリン上部がより自由に振動され、音の音色にも影響を与えます。f字孔特有の形は、何世紀にも渡った試行錯誤の上辿り着いたものであり、細長い穴は楽器のスペースを取らずに、より大きい音を逃がすことができたため、この形が選ばれた可能性が高いです。 こちらが、どのように「f字孔」が現在の形になったか示されている写真になります。 見出しに戻る アジャスター アジャスターは、後少しで弦の音程が合うという時に、音程の微調整をしてくれるものです。 ただ、アジャスターはチューニングできる範囲が限られているため、ペグの代わりにはなりません。殆どのバイオリンには、少なくとも1つのアジャスターが付いており、大抵E弦に設置されています。 一部のバイオリン、特に初心者や子ども用に作られたバイオリンは、チューニングしやすくする為に4つのアジャスターが付いています。子ども用の場合、子どもの手は柔らかくて、ペグで調弦できない事が多いので、これは特に重要なものになります。 上級者の間では、4つのアジャスターが付いているバイオリンを持っている人は、より珍しくなりますが、4つのアジャスター専用に作られたテイルピースが設置されていれば(通常のテイルピースにアジャスターを追加する事とは違い)音に大きな変化を与える事はありません。 見出しに戻る パーフリング パーフリングは、バイオリンの外側の縁にある線の事です。 一見この線は描いているように見えるかもしれませんが、実際はボディに刻まれた溝に、3本の薄い木片がはめ込まれています。 これは外観の美しさを加えるだけでなく、湿度や温度の変化によりボディ(特に表板)の木材が膨張・収縮・変形した場合に、亀裂が入る事や広がる事を防ぎます。 こちらがパーフリングの写真です。 見出しに戻る ペグボックス ペグボックスは、指板の端とスクロールの間にある部分の事です。 これは、ネックとスクロールと同じ木材(通常はカエデ材)から彫られています。 ペグボックスの役割は、楽器を調弦するのに使われるペグを保つことです。 ナットと各ペグの距離は正確に標準化されてませんが、通常ペグは奏者が調弦しやすい場所に作られています。 見出しに戻る ペグ ペグはバイオリンを調弦するために使われるものです。 ペグは、ペグボックスの穴にはめ込まれており、各ペグには弦を通す小さい穴があります。 ペグをスムーズに回転させるには、ペグと穴の両方が完全に円形である必要があり、特にペグは、ペグボックスの穴と完全に一致するように調整しなければなりません、 調弦中に奏者が穴に押し込みやすいよう、ペグの先は徐々に細くなっており、締め付けると固定されるようになっています。 ペグは一般的に「黒檀」「ローズウッド」「つげ」で作られています。ペグは、無地だったり、はめ込み装飾、装飾彫刻が使われているものもあります。 ペグの大半は、単純に木材を彫刻されたものですが、近年では、従来のペグより物理的な力が必要とされず、ゆっくりとピッチを上げる事ができ、微調整がしやすいギア付きのペグが市場に出ています。 このペグは、アルミニウムやプラスチック製で、バイオリンに合わせて彫られていない為、ペグボックスの穴を大きくする必要がある事が多いです。一度大きく加工した穴は、元に戻す事はできません。 ギア付きのペグはあると使いやすくなりますが、元のペグが上手く機能していれば、一般的にはあまり価値がありません。 こちらが色んな種類のペグの写真です。 見出しに戻る ナット ナットは、指板の端の高さのある部分のことであり、各弦に溝があります。 ナットは弦の高さを維持し、弦を指板に触れさせないようにします。これは振動音や指板の摩擦を防ぎます。 ナットの高さと駒の高さを合わせて、指板の上の弦の高さ(「弦高」と呼ばれる)が決まります。 「弦高」が低いと弦を押さえやすくなりますが、指板に対して不快な振動音が発生してしまいやすくなります。「弦高」が高いと、これとは逆の効果があります。 不快な振動音が出る「弦高」は、使用されている弦の種類や奏者自身によって変わります。例えば、大きな音で演奏すると振動音が発生しやすいので、より高い弦高が必要になります。 見出しに戻る ネック ネックは、バイオリンを弾く時に持つ部分です。 ネック・ペグボックス・スクロールは、全て1枚の木片(通常はカエデ材)から削り出され、その上に指板が接着され、最後に全体部分がバイオリン本体にはめ込みられます。 ネックの下部は「ヒール」と呼ばれ、バイオリン内部にあるトップブロックに蟻継ぎではめ込められ、接着されますが、トップブロックと併せて彫られたネックも存在します。 ネックは、バイオリンの中で唯一、奏者が日常的に触る部分なので、滑らかで、持ちやすく、手が動かしやすい形状になっています。 見出しに戻る 指板…

西宮国際バイオリン教室 テスト手順と採点基準

前提条件 テストを受ける前に、生徒さんは各レベルの前提条件となる以下の教材を終了させる必要があります。 テストの手順について テストは毎週、生徒さんの通常のレッスン時間に行われます。生徒さんは、様々な分野の技能を証明するため、何回でも受験することができ、数週間かけてポイントを貯めていきます。テストは、生徒さんが合格点に十分なポイントを貯めた時点で終了します。 得点について 毎週、テストの注意点ごとに、生徒さんには✗、△、○、⦾のいずれかが与えられます。生徒さんは全ての注意点について、チェックされることを覚悟して準備する必要がありますが、時間が限られているので、毎週全ての注意点がチェックされるわけではありません。ある注意点の習熟度が十分に達成されていると確認された時点で、その注意点のテストは終了となり、点数が加算されます。 ポイントシステムは、以下となります。表記は、数週間の内に獲得した連続の得点を示す。例えば、○△△は1週○点、2週続けて△点であることを示す。 キーポイントで○△○、○△、△○、△△を獲得した生徒さんは、さらに点を取るために、続けてテストを受けることが出来ます。ただし、それ以降の週に✗を取ってしまった場合、その得点は0点に減点されます。 合格点について 合格するには、以下の評価を受ける必要があります。 修了証書 テストに合格した生徒には、次回の発表会(クリスマスまたは5月)の表彰式で、修了証が授与されます。

西宮国際バイオリン教室技術テストのレベル1注意点

西宮国際バイオリン教室技術テストのレベル1の内容です。受験方法や採点方法など、詳しくはこちらのページをご覧ください。 このテストを受ける前に、生徒は以下の前提条件を満たしていることが想定されます。他の教材を利用している生徒さんの場合は、講師はこれらの条件の一部を免除することができます。 このテストの最高点は252点です。合格点は176点(70%)になります。さらに、各項目で50%以上の得点を取る必要があります。 弓の持ち方(27点) ボウイング(33点) バイオリンの構え方(27点) 姿勢(21点) 左手のテクニック(24点) バイオリンのケア(18点) 音楽理論(9点) 練習の仕方(9点) ドリル(33点) 音階とアルペジオ(33点) 音階、アルペジオ、変奏の例は本書に掲載されています。 https://teacheradamviolin.com/wp-content/uploads/2024/06/レベル1の音階とアルペジオ(例).pdf 課題曲(18点)

西宮国際バイオリン教室技術テストのレベル2注意点

西宮国際バイオリン教室技術テストのレベル2の内容です。受験方法や採点方法など、詳しくはこちらのページをご覧ください。 このテストを受ける前に、生徒は以下の前提条件を満たしていることが想定されます。他の教材を利用している生徒さんの場合は、講師はこれらの条件の一部を免除することができます。 このテストの最高点は426点です。合格するには、パートAで149点(80%)、パートBで158点(70%)を取る必要があります。さらに、各項目で50%以上の得点を取る必要があります。 パートA(186点) 以下の項目のキーポイントは、レベル1のテストと同じです。 音楽理論と聴音(30点) パートB(225点) ドリル(60点) 音階(60点) 音階とアルペジオの例については、本書をご参照ください。 https://teacheradamviolin.com/wp-content/uploads/2024/06/レベル2音階とアルペジオ(例).pdf アルペジオ(60点) エチュード(一個9点、合わせて45点) 各エチュードについて、左手のテクニックに最大3点、右手のテクニックに最大3点、その他特定のエチュードに関連する重要なポイントに最大3点が与えられる。